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「明月もこっちおいでよ」
風呂上がりに廊下を歩いていると、庭先から声がかかった。
見れば、庭に長椅子を出して並んで座る兄達。サンダルに履き替えて近付けば、雨月兄さんが席を詰めて、スペースを空けてくれた。
「お月見ですか?」
「今日は仲秋の名月だろう?月見酒なんて風情があっていいじゃない」
そう言うと、残っていたグラスを差し出される。
「飲むでしょ?」
「はい、頂きます」
白い泡の様な模様が入った丸いグラスに、綺麗に透き通った日本酒を注いでもらう。
ちょっとしたおつまみも持ち出している所を見ると、二人共しっかり飲む気でいたんだろう。
団子を摘まんでいた雨月兄さんが、僕のグラスをちょっと横目で見て、珍しい事に少し口角を上げて笑った。
「月が映ってる」
何に?とは聞かなくてもいい、丸いグラスの中に白く輝く月の光が映り込んでいるのだ。
「贅沢だよね」
嬉しそうに言う水月兄さんは、空いた自分のグラスにも酒を注ぎ入れる。透き通った液体は、光を受けて銀色にとろける。
水に映った輝く月は、同じ名前を持つ兄の中に吸い込まれて消えていく。
月を呑むなんて、確かに贅沢な事だ。
静かに、でも何故か柔らかくて心地良い秋の風と、穏やかな時間に包まれて、自分も大人になったんだとそんな事を思った。

あんまり酒は強くないので、これ一杯だけだと兄達と約束して、僕も月に口を付けた。


今日は仲秋の名月なので、折角だから名前に月が入ってる葛家の兄弟にお月見してもらおうと思ったんです。
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